じっと視線をあわせ、笑顔を絶やさないふたりの愛くるしい様子をとらえるため、母親はカメラを手に取りました。聞こえてくるふたりの声に注意を向けてください。まだ大人と同じ言葉を話せないふたりですが、彼らだけしか知らない秘密の言語で打ち明け話をしているかのようです。
短い声に込められた意味は、テレパシーの電気信号のように濃密な情報を乗せていて、彼らだけには解読ができるのでしょう。撮影者である母親の影がベッドのふたりに落ちていることから、距離の近さが伺えますが、今彼らの目にはお互いの姿しか映らないようです。